Book interview

プロフィール● '82年東京都生まれ。'96年ホリプロスカウトキャラバンでグランプリを受賞しデビュー。数々のドラマや映画、CMで活躍。今年だけで本作を含む4本の映画に出演し、主要な役どころを努める。

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平凡でも幸せな家庭に満足していた渡部。不倫を軽蔑していたはずが、派遣社員の秋葉を知るうち、深い男女の関係に…。秋葉は15年前、自宅で起きた殺人事件を渡部に語り、時効の日に全てが明らかになるという。

不倫の甘い地獄を描く東野圭吾の話題作が映画に, 深田恭子

ヒロインの気持ちは今でも完全には分からない。

---'07年に刊行され、〝東野圭吾初のラブストーリー〟として話題を集めた小説『夜明けの街で』が映画になる。その公開を前に、ヒロイン・秋葉を演じた深田恭子さんにお話をうかがった。初めて台本を読んだ感想は?

「秋葉は派遣社員として働く31歳の女性です。高校生の時、父の秘書で愛人だった女性が殺害され、その真犯人として容疑をかけられながら沈黙を貫いてきた彼女は、もうすぐ時効という時期に上司の渡部と出会い、不倫の恋に堕ちていきます。
 30代という年齢も、容疑者という特殊な立場も、不倫も、私には経験がなく、どう秋葉に近づけばいいのか戸惑いました。今でも多くのものを抱えている彼女の気持ちを理解しきれずにいます。もし秋葉が友達なら、わざわざ破滅に向かうような生き方には賛成できないかな」

---秋葉像をどう捉え、いかに演じたか。

「15年もの間、自分のなかに真実を秘め、信念を曲げることなく最後まで目的を成しとげようとする彼女は、本当に芯の強い人だと思います。そして、強いからこそ、孤独で哀しい人。その強さはきっと表情や仕草ではなく、言葉の重みやたたずまいに表れるのではないかと思いました。だから、演じる際には一つ一つの台詞を大切に話すことを心がけました」

---では、秋葉にとって渡部とはどういう存在だったのか。

「心を閉ざしてきた秋葉が、ようやく心を開けたのが渡部さん。恋人であると同時に、父のように甘えられる存在でもあったはずです。もしかしたら、秋葉も最初は計画的に近づいた面があったかもしれません。だって、彼女には計画を実行に移すための準備期間が15年もあったのだから。もし利用できる人物がいたら…くらいは想像していたかもしれませんよね? でも、実際に渡部と付き合いだしてからの秋葉は、彼の居心地よさに惹かれ、どんどんはまっていったと思います。秋葉の渡部に対する気持ちには、嘘も策略もなかった。真実の愛だったと私は思っています」

東野作品に描かれる"人間臭さ"に惹かれます。

---読書家で、昔から東野圭吾氏の大ファンだという深田さん。東野作品の魅力とは?

「東野さんはあらかじめストーリーを考えず、書きながらお話を作っていかれるそうで、先にルートやゴールが決まっていない自由さを感じます。読者は物語を先読みできないから余計に夢中になるのかも? また、心の闇や人間の暗部をごまかしなく描く"人間臭さ"も魅力です。
 東野作品はほぼ全て読んでいる私ですが、実は本作だけはまだ。撮了後に読むつもりで楽しみにしていたのですが、演じてみると胸がいっぱいで苦しくて。小説には映画より濃厚な描写もあると聞き、演じる以上に苦しい思いをするのかと思うと、怖くて手が出ません。もう少し客観的に読めるようになるまで待ちます(笑)」

---最後に作品の見どころ、読みどころを。

「この作品は、東野さんにとって特別思い入れのある横浜が舞台。人を少しだけ大胆にさせる街・横浜で展開する大人の恋愛をじっくり味わってください。映画では特に、美しい夜景を楽しんでもらえたら」

---不倫という甘美な罠にはまった渡部を待ち受ける、衝撃のラストにも注目を!

取材・文/松本理惠子 撮影/藤丸修
スタイリング/外山由香里 ヘアメイク/板倉タクマ(ヌーデ)