Book interview

©小山宙哉/講談社

プロフィール ● '78年京都生まれ。初持込み作品『ジジジイ』で第14回マンガオープン審査委員賞受賞。『劇団JET'S』が第15回マンガオープン大賞に輝く。'07年12月より講談社モーニングで『宇宙兄弟』を連載。。

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二人で火星へ行こうと誓った兄・六太と弟・日々人。2025年、大人になった日々人はNASAの宇宙飛行士になっていた。一方、会社をクビになった六太は、遅ればせながら宇宙飛行士への夢を追い始める。

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宇宙を目指す兄弟の壮大な人間ドラマが映画化, 小山宙哉

自分にしか描けない宇宙飛行士モノを描きたい。

--- 小山宙哉さんの人気漫画『宇宙兄弟』が映画になる。その公開を前に、作品に対する思いや映画化への期待についてご本人に語ってもらった。

「『宇宙兄弟』は、子ども時代に兄弟で交わした約束を守るため、31歳で宇宙飛行士を目指すことになった冴えない兄・ムッタと、NASAの宇宙飛行士として兄の先を行く弟・ヒビトの物語です。SFというよりは、二人がさまざまな試練を乗り越えながら一歩ずつ夢に近づいていく、熱い人間ドラマがテーマです。

 宇宙を題材にしたのは編集者の薦めもあってのことですが、向井千秋宇宙飛行士の夫・万起男さんが書かれた『君について行こう』を読んだら面白くて。自分好みの宇宙飛行士モノを描きたくなって、この作品を始めました。

 小学生の時、先生がバレーボールを水の入ったバケツに浸けて持ち上げ、〝地球の海水の量は、このボールの表面にうっすら残っている水くらいのもの〟と教えてくれたことがありました。宇宙の壮大さには昔から魅力を感じていましたね」

--- 優秀な弟とちょっと出遅れた兄という設定はどこから?

「『君について行こう』で、宇宙飛行士に憧れながら別の道を進んだ万起男さんが千秋さんの打ち上げを見送るシーンが印象的で、それを兄弟に置き換えてみました。スポーツでも弟が先に横綱になった若貴兄弟みたいに、こういう状況って結構ありますよね。そういうのを見ると、僕は兄を応援したくなるんです(笑)。だから、応援したくなるほうを主人公にしました」

映画版はすべてにおいて僕の想像以上です。

--- リアルな宇宙飛行訓練の描写は作品の大きな魅力だ。

「実際にNASAやJAXAを取材に行き、見たもの感じたことを反映しています。また、JAXAの方に監修していただいているので、生の最新情報を描くことができます。作中ではムッタが色々と斬新なアイデアを思いつくのですが、その発想自体は僕のものです。例えば、月面バギーのフロントウィンドウに関するアイデアなどは、現実でも開発が進んでいるとは知らずに描いたものです」

-- 個性的なキャラクターが多く登場するが、お気に入りは?

「やっさん(古谷)、デニール・ヤング、ピコかな。デニールにはモデルがいます。NASAに行った時、“車に乗るか?”と声をかけてきて、ロケットの打ち上げがよく見える場所に連れて行ってくれたNASA職員のおじいちゃんと、乱暴な運転でキャンディをくれたタクシー運転手の掛け合わせです(笑)」

-- 映画化にあたっての感想を。

「キャストにしても音楽にしても全部が想像以上です。岡田将生さんがヒビト役なのは全然違和感がなかったですが、小栗旬さんがムッタ役と聞いた時は、え!? と思いました。でも、写真やPVでムッタそのものの小栗さんを見て納得。この二人でよかったです。主題歌はまさかのコールドプレイということで、完成が楽しみです!」

--- 最後に読者にメッセージを。

「これからムッタとヒビトを初めキャラクター全員が、目指しているものに向かって壁を乗り越えながら進んでいく様子を描いていきます。宇宙に興味がなくても、兄弟がいなくても楽しめる作品になっていると思うので、老若男女すべての人に読んでほしいです」

取材・文/松本理惠子