Book interview

©2013渡航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

プロフィール
渡航 ● '87年千葉県生まれ。デビュー作『あやかしがたり』で第3回小学館ライトノベル大賞のガガガ大賞を受賞。'11年『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』が話題となり好評シリーズ化。

TSUTAYA 今月のイチ押し

コミック
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている 7』
渡航/著 ぽんかん8/イラスト
小学館 630円(税込)

友達なし彼女なし、将来の夢は“働かないこと”―筋金入りのひねくれ高校生・八幡はひょんなことから「奉仕部」に入部させられる。今日も迷える生徒たちが相談ごとを持ち込んできて…。京都への修学旅行を目前にひかえ、ついにラブコメ展開到来か!?ドラマCD付き限定特装版(1,890円)も同時発売!

新刊発売&アニメ化で話題沸騰のライトノベル, 渡航

主人公の八幡にも負けない地味な高校生でした

--- 今、注目度ナンバー1のライトノベル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(略称、俺ガイル)。3月19日にはシリーズ最新刊となる7巻が発売、4月にはアニメ版の放映が控える。さらなる人気爆発を確信し、作者の渡航さんに取材した。

人気の理由をご自身ではどう分析していますか?

「ライトノベルというと読者の中心は10代20代ですが、『俺ガイル』は30代も多いです。それは、この作品が青春を一歩引いた斜めの目線から見ているからだと思います。

 主人公の八幡は、幼少期から友達がおらず、ひとりぼっちをこじらせて超ひねくれ者になってしまった男子高校生です。青春ともラブコメとも程遠いところにいる彼の残念な姿に、読者は昔の自分を重ねて、懐かしさを味わっているのではないでしょうか。八幡の正々堂々とした卑屈さに、逆に救われる部分もあるかもしれません」

--- 渡さんご自身の高校時代は?

「八幡と同じくらい残念でした。バレーボール部に入ったのですが、早々に先輩との上下関係に嫌気がさして辞めてしまい、ブラブラと暇を持て余していました。放課後に数少ない友人とファミレスに行ってはドリンクバーで何時間も粘って、グチや傷のなめ合い(笑)。主流派になれないコンプレックスの裏返しで、世の中の批判ばかりしていました。でも、あの頃があったから、今の作品があります。自分の中でコンプレックスを笑いとばせたことが大きかったと思います」

“ライトノベルで全ジャンル制覇”の野望

--- ぽんかん8さんのイラストについて。

「瑞々しいタッチがすごく気に入っています。主要人物の人物像を作り込むために私が書いた詳細な履歴書があるのですが、それをぽんかん8さんにもお渡しして共有してもらいました。おかげでイメージ以上のキャラクター造形ができあがりました。このキャラクターたちがアニメになって動くと思うと楽しみです。小説も漫画もアニメも含めて『俺ガイル』プロジェクトと考えているので、すべてが刺激し合って成功できたらいいですね」

--- シリーズは今後どうなっていくのでしょうか?

「6巻の文化祭のエピソードで前半戦のクライマックスを迎えたのですが、彼らにとっては、まだお互いを知り始めたばかり。私が描いている全体の構想としては、7巻の修学旅行のお話から後半戦に突入という感じです」

--- では、次に書いてみたいジャンルは?

「ライトノベルでは異色の歴史ものをデビュー作で書き、今は王道のラブコメを書いています。なので、次はそれ以外で。あらゆるジャンルに挑戦する作家っていうのも面白いのではないかと思っています」

--- 最後に読者にメッセージを。

「『俺ガイル』の中には、自分に似た登場人物が見つかるはず。その子に注目して読んだりアニメを観たりしてもらえれば、きっといろいろな楽しみ方ができると思いますよ」

取材・文/松本理惠子