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特集 本・コミック特集 本・コミック

TSUTAYA BOOKS INTERVIEW- 乾緑郎
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TSUTAYA BOOKS INTERVIEW- 乾緑郎

現実と非現実が交差する『このミス』大賞受賞作が映画化

取材・文/布施快 撮影/木村利美

インタビュー写真

乾 緑郎Rokuro Inui

PROFILE

' 71年、東京生まれ。作家・鍼灸師。
' 10年『完全なる首長竜の日』で宝島社『このミステリーがすごい!』大賞受賞。同年には『忍び外伝』で第2回朝日時代小説大賞も獲得した。近著に『海鳥の眠るホテル』。

物語の起点となったのは少年時代の実体験!

---まもなく公開される映画『リアル~完全なる首長竜の日~』。
原作となった『完全なる首長竜の日』は、『チーム・バチスタの栄光』(海堂尊)など多数のベストセラーを排出している、宝島社『このミステリーがすごい!』大賞受賞作だ。著者の乾緑郎さんにお話を伺った。

「映画化のお話をいただいた時には驚きました。もともとホラー映画のファンで、黒沢清さんも好きな映画監督の一人。昏睡状態にある患者と意思疎通する“センシング”や首長竜といった、キーとなる要素が黒沢監督によって再構成されています。さらに、主人公の淳美と浩市が恋人という設定になるなど、新しい物語になっていると思います」

---小説では、淳美がセンシングを行い、意識不明となった弟・浩市との対話を重ねる。もとになったのは、乾さんが演劇の台本として書いた作品だった。

「心象風景や主観的な要素、舞台では表現できないシーンなど、台本には当初の構想からそぎ落としたものがたくさんあって、“書き終わった感じ”がしなかった。それをやりきったのが今回の小説なんです。小説は僕にとって最も自由で、しっくり来る表現方法ですね」

---緻密に描かれた断片が連なり、読み進めるにつれて、読者は現実と非現実とが交差するストーリーに引き込まれていく。

「小説に出てくる首長竜にまつわる姉弟と“祖父”のエピソードは、ほとんど実体験なんです。小学生のころ、大好きだったモササウルスという恐竜の絵を一生懸命描いて親戚のおじさんに見せたら“こんなものいるわけがないだろう”と、マジックで描き直されちゃって。大泣きしましたね(笑)。ずいぶん変わったところのある人で、小説に登場する“祖父”のモデルであり、実は物語を構想する際の起点になった存在でもあります。センシングに必要なSCインターフェースを装着する際に針が頭皮に刺し込まれる感触の表現も、鍼灸師としての経験から出たものですし、作品を構成するエピソードには、僕個人の経験が何らかのかたちで入り込んでいる。それらを丁寧に描くことが、リアルさに繋がっているのかも」

エンターテイメント作品を書き続けていきたい

「小説の投稿歴は結構長くて、初めて賞に応募したのが24歳のときでした。二次選考まで通ったので、もうちょっと行けるんじゃないか…と思ったら、その後が難しかった(笑)」
 『このミス』大賞受賞は39歳のとき。以来、本作からのスピンオフ作品や、鍼灸師を主人公にした「鷹野鍼灸院の事件簿」シリーズなどのミステリー作品はもちろん、時代小説も好評だ。
「ジャンルはそれぞれ違いますが、どの作品にもホラーの要素が含まれていると思います。スティーヴン・キングやクライヴ・バーカーの小説が好きで、彼らが書くモダン・ホラーへのあこがれと、その日本版を書きたいという気持ちがあるんです。実はSCインターフェースも、バーカーの作品が原作となった映画『ヘルレイザー』に登場する“ピンヘッド”のイメージ。これからも、楽しみながら読んでもらえるエンターテイメント作品を書き続けたいですね」

TSUTAYA今月の一押し

文庫

『 完全なる首長竜の日』
乾緑郎/著 宝島社 590円
『 完全なる首長竜の日』

漫画家の淳美は、自殺を図り昏睡状態となった弟・浩市と“ SCインターフェース”を通じて対話を重ねていた。理由を尋ねても浩市は答えず、イメージの中でも自殺を繰り返していた。ある日、仲野泰子と名乗る女性が現れる。彼女が浩市と接触したことをきっかけに、“現実”がゆがみ始める…。

映画『リアル〜完全なる首長竜の日〜』
『 完全なる首長竜の日』
6月1日(土)全国ロードショー
  • ●東宝
  • ●127分
  • ●監督・脚本/黒沢清
  • ●出演/佐藤健、綾瀬はるか、オダギリジョー、小泉今日子、中谷美紀ほか

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