『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』松たか子 インタビュー 1/2

「夫婦は死ぬまで他人ですが、最も近しい存在。面白いですよね」
松たか子が、『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』で長編映画初主演を果たした。本作は、今年生誕100周年を迎える文豪・太宰治の同名短編小説を映画化した夫婦のドラマで、松は名優・浅野忠信と夫婦を演じ、道楽夫を全力で支えながら戦後の激動期をしなやかな強さで生き抜く妻・佐知を好演した。女優として新境地を開拓した松に、浅野との共演の感想、女性や夫婦の本質など、さまざまなテーマについて聞いた。
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素晴らしい人たちに囲まれて、わくわくしていました
―― 改めて太宰治がこれほど愛されている理由については、どう思われますか?
松たか子(以下、松):これだけ時間が流れていてもたくさんの人たちに愛されるなんて、純粋にすごいことだと思います。太宰治が人生の中で誰かと一緒にいたくなったりする一方で、孤独になりたかったり死にたかったり、わがままな人だとは思いますが(笑)、じたばたしながら生きている様子がわたしには魅力的に感じました。
―― 完成された本作をご覧になって、どのような感想を?
松:自分が出演した映画を客観的には観られないのですが(笑)、出演してとても良かったと思いました。本作は娯楽作品で喜劇だとは思いますが、渋いドラマになっていると思います。わたしは浅野さん、根岸吉太郎監督という素晴らしい人たちに囲まれて、どういう人たちに観てもらえるのだろう? とわくわくしながら、一つの作品に向かっていけたことがとても良かったと感じました。
浅野さんを見て、映画って改めて面白いと思いました
―― 根岸監督は人間ドラマに定評がありますが、一緒に仕事をされた感想は?
松:監督はいつも原作の文庫本を携えていて、太宰治の世界観や昭和20年代の戦後の雰囲気を、映像上によみがえらせることにこだわっていたと思います。役者を信頼なさっていてくださる方だったので、撮影中はとても安心感がありました。
―― 松さんの夫となる浅野忠信さんとの共演の感想はいかがでしょう?
松:先日、遅ればせながら浅野さんが主演された、『モンゴル』を拝見しました。改めて、すごい俳優さんと仕事をしたんだって思いました。浅野さんと共演するのは今回が初めてで、映画の現場を数多く、いろいろな土地で体験されてきた俳優さんなので、とても居心地が良く、集中力のキープの仕方もすごかったです! 見ていて勉強になることが多かったです。いつも力んでいるわけじゃないですが、ある瞬間に一気に気持ちを上げる集中力がすごくて、浅野さんの姿を見ていて、映画の現場が改めて面白いとも思いました。大谷役が浅野さんで本当によかったです。

