『キャピタリズム 〜マネーは踊る〜』マイケル・ムーア監督 インタビュー 2/2

マイケル・ムーア監督

「アメリカ人が立ち上がり、行動を起こすことを望んでいる」

アメリカの問題点を世界中に発信しているジャーナリスト、マイケル・ムーア監督が新作『キャピタリズム 〜マネーは踊る〜』と共に、日本に初来日を果たした。インタビュー当日の朝、マイケルが長年支持し続けてきたオバマ大統領は、アフガニスタンへの追加派兵を決定した。終わらない戦争への悲しみを抱えながら、マイケルがアメリカの反逆児として生きる難しさを語ってくれた。

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実は家が爆破されそうになったときがあった

マイケル・ムーア監督

―― 今回もいろいろなところで出入り禁止になっている姿が映っていましたね。

マイケル:僕が企業のトップや権力のある方に取材をお願いすると、彼らは話したがらなくなってしまったね。映画を観ればわかると思うけど、権力者に取材をするのは難しくなったよ。

―― 身の危険を感じることも多いと思います。一時は暗殺説も出ていたあなたですが、現在ボディーガードはどのくらい付けているんですか?

マイケル:今は二人だけ。過去にはボディーガードが9人付いていたこともあった。実は、家が爆破されそうになったときがあったんだ。あれほどの恐怖を感じたことはなかったね。本当に最悪な日々だった。その人は、精神的におかしかったんだ。結局犯人は捕まって、刑務所へ送られた。標的にされたのは僕だけではなく、ヒラリー・クリントン、アメリカの司法長官、女優のロージー・オドネル。左派ばかりが狙われたんだよ。

―― この映画ラストで、「これが僕にとって最後の映画になるかもしれない」と発言していましたね。引退を覚悟したということですか?

マイケル:もう疲れたんだよ。攻撃されることに疲れた。僕だって人間だ。休息も必要だし、人生を楽しむことも必要だ。家族が脅かされることなく、生活できることも必要なんだ。僕だけではなく、ほかのアメリカ人が立ち上がり、行動を起こすことを僕は望んでいる。僕やほかの数人にすべて任せるなって言いたいね。孤独な戦士には、なりたくないし、そんなことを引き受けた覚えはない。僕は勇気があるんじゃなくて、愚かなだけなのかもしれない。僕が行動したことで、家族が傷つくという結果も招いてしまったし、紙一重だよ。

若者こそ僕らに残されている唯一の希望

マイケル・ムーア監督

―― あなたの映画は、アメリカでも日本でもたくさんの若者に支持されていますが、それはどうしてだと思いますか?

マイケル:僕のファンのほとんどは若者だ。それは多分、若者に反抗心がまだ残っているからだろう。僕のような中年男がいまだに反抗し続けているのを見て、若者はうれしくなるのだろう。若者こそ僕らに残されている唯一の希望だ。何しろ年寄りがこの世の中をメチャクチャにしてしまったわけだから。

―― 日本の若者に、どんなメッセージを送りたいですか?

マイケル:より良い人生を手に入れるならば、大人任せにしてはいけない。いくら待っても大人が素晴らしい人生を手渡ししてくれるとは限らない。自分たちの世界なんだから、自分たちで切り開いていくべきなんだ。選挙に行けばよいという問題ではなく、若者もどんどん選挙に立候補するべきだ。大人に任せっきりにするな。




取材・文・編集:シネマトゥデイ 写真:尾藤能暢

MOVIE INFO

解説

「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」のマイケル・ムーア監督が、経済問題をテーマに描くドキュメンタリー。2008年9月、サブプライムローン問題が顕在化し、世界有数の証券会社リーマン・ブラザーズが破綻、これを契機に世界は空前の大不況に陥った。一夜にして職も自宅も失い路頭に迷う人々が続出する一方、そのサブプライムローンで暴利を得てきた巨大金融機関には、救済を目的に国民の血税が大量に投入される皮肉な事態に。

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