おすぎのシネマ言いたい放題|映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このなかにある!


【注目】
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マルタのやさしい刺繍

2008-10-21

 まあ、何と珍しい“スイス映画”の登場です。「マルタのやさしい刺繍」なんてタイトルだし、スチールを見れば爺さん、婆さんたちが出演しているようだし、食指は動かないけど、見てみるか…なんて調子で出掛けました。まあ、これがなんと、素晴しい映画でありました。原題はユリ科の花“コルチカム”のドイツ語名(直訳すると“秋の時しらず”というのですって…)。花壇や鉢に植えず、土や水を必要としなくても開花する珍しい植物で、秋に花をつけるゆえんに、この映画の4人の秋を迎えて、もうひと花咲かそうという女性になぞられています。

9ヶ月前に最愛の夫を亡くした80歳のマルタ。気力を失い、息子の牧師ヴァルターの日曜日のミサにも行かない生活を送っていた。夫と始めた雑貨屋の店も放りっぱなし、そんなことを心配した友人のリージ、フリーダ、ハンニがマルタが昔縫製をしていたことを知って、村の合唱団の団旗の修理を頼むことに…。早速、リージたちと一緒に首都ベルンの生地屋に出向いたマルタは美しいレースを見ているうちに、昔見た夢“パリのシャンゼリゼ通りに自分でデザインして刺繍をしたランジェリーのお店をオープンさせること”を思い出し、店を出す決心をする。だが…。

とても美しいストーリーを持った映画です。人間、幾つになっても叶えられる夢があるのです。勿論、障害は山のように…。とくに保守的な小さな田舎の村には…。それらのエピソード、皆、興味津々であります。マルタのシュテファニー・グラーザー(88)がチャーミング。元気が出る映画です。
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(C)2006 Buena Vista International(Switzerland)

プロフィール

おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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