おすぎのシネマ言いたい放題|映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このなかにある!


【注目】
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アカデミー賞ノミネート

2009-02-06
スラムドッグ$ミリオネア

 第81回米アカデミー賞のノミネートが1月22日に発表されました。“外国語映画”部門で日本の「おくりびと」が「たそがれ清兵衛」以来5年振りに候補にあがったのでマスコミは大騒ぎです。昨年の邦画の私のベストワンは「ぐるりのこと。」でしたので、フーン、そんなものか、と感じましたが、日本の文化(儀式)が世界の人々にスンナリ理解出来ることが可能なくらい、美しく描かれているので、受賞出来るといいなあと思っています。作品賞は「スラムドッグ$ミリオネア」がゴールデン・グローブ賞で作品賞と監督賞を獲っているのでアカデミー賞の受賞は、まず、あり得ないでしょう(今までW受賞したことは希でしたので…)。監督賞が作品賞ノミネート映画の監督で占められたのも、このところ無かったことです。主演男優賞にフランク・ランジェラミッキー・ロークのベテランが入っているのが目をひきます。今、ミッキー・ロークは仕事のオファーが殺到しているとか。忘れ去られていたのが嘘みたいなことになっているようです。主演女優賞にメリル・ストリープが、またまた入っています。何回目のノミネートなのか、多分20何回かでしょう。今回は、とても怖い役です。助演男優にヒース・レジャーがノミネートされています。故人が受賞したら誰がオスカーを受けとるのか興味津々であります。
 
 助演女優賞は「ダウト/あるカトリック学校で」のふたりの女優がノミネートされているのが面白いです。今年は、かなり華やかな式典になる、という情報が入っていますから、不況をブッ飛すような演出を期待しましょう。
 
 アカデミー賞といえば、オスカーを手に、受賞したスターのコメントが楽しみですけど、今までで印象に残っているのはジェームス・ステュアートが「この賞はボクだけではなくスタッフ、裏で働いてくれた人たちにも与えられたものです。」と初めて裏方の人々への労いを口にしました。シャーリー・マクレーンがオスカーをみつめてから「泣いてもいいですか?」と会場の人々に尋ねました。いい話でしょ。
 
 黒人差別が平気だった時代、黒人女優にオスカーを与えたのもアカデミー会員でした。「風と共に去りぬ」の乳母役ハティ・マクダニエルでした。ちなみに黒人男優は「野のユリ」のシドニー・ポワチエでした。さて、今回、私が予測するならば、というよりオスカーをとって欲しいと思うのは、作品賞部門「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」、監督賞部門“デイヴィッド・フィンチャー”、主演男優部門“ブラッド・ピット”、主演女優部門“アンジェリーナ・ジョリー(監督によってこんなにも違ってしまうのか、とビックリしたので…)”、助演男優部門“フィリップ・シーモア・ホフマン”、助演女優部門“タラジ・P・ヘンソン”なのです。「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」は、映画の長い歴史の中でも同じようなテーマを持ったものは皆無と言えるでしょう。また若返った役者というのも希少ですから、どうしても押してしまいます。と書きながら、昔々“アカデミー賞レース”をやった記憶が甦ってきてしまいました。ノミネートの中から、これがオスカーと仲間8人くらいで各自が選出して、一番正解が多かった者が見たい映画を言って、負けた者がお金を出しあってプリントと試写室を借りて上映会をやるというものでした。私は一度も見たい映画を言えなかったので、今回の私の予測も全滅かもしれませんね。
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プロフィール

おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。 テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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