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【注目】
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アカデミー賞ノミネート(2)

2009-02-20
ミルク

 前回の予想を書いた時点で試写を見られなかったものがありましたが、「ミルク」と「フロスト×ニクソン」を見ることが出来ましたので追加という形で書いてみます。
 
まず「ミルク」から。ちなみに“ミルク”とは、1978年11月27日に凶弾に倒れたサンフランシスコ市政執行委員のハーヴェイ・ミルクのことであります。同性愛者であることを公表してアメリカで初の公職についた政治家(政治家の中には同性愛の人もいましたが、カミングアウトして選挙に立候補したのは彼が初めてでした)。このミルクの最後の8年間をガス・ヴァン・サントが映画化しました。事実をそのまま映画にすればかなり重い映画になりそうなのを、サントは軽く、華やかに構築しました。ショーン・ペンが今までと違ってかなりな挑戦をし、新しい面を出しているのも見所で、主演男優賞にノミネートされたのは宜なるところでしょう。私はブラッド・ピットにあげたいなぁオスカーと思っていますがショーンの演技は、美事で、よくまあ、演技者とはいえ“ゲイ”の役を、ここまで表現出来ると感心しきりでした(元来、ゲイの役ってストレートの俳優の方が演じるのがうまいのですけれど…)。「ミルク」は助演男優賞部門にジョシュ・ブローリンがノミネートされています。ミルクを銃で撃ってしまう、同じ市政執行委員のダン・ホワイトを演じています。この部門はヒース・レジャーツタヤオンラインの賞レースでは圧倒的に受賞者1位の予想です)がいますから…さて、どうなることか。ちなみに賞レース予想大会での「ミルク」は作品賞、監督賞、主演男優賞部門でも高い得票であります。
 
「フロスト×ニクソン」は、私は知らなかったのですが、1977年、アメリカのテレビで異色のインタビュー番組が放送されました。インタビューするのはコメディアン出身で、ヨーロッパで活躍していたセレブなテレビ司会者デビット・フロスト。このインタビューを成功させてアメリカ3大ネットワークに仕事の場を拡めようという魂胆を秘めていました。インタビューされる方は、ウォーターゲート事件の汚名にまみれて政界を去った元アメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソン。彼は彼で、コメディアンあがりの司会者を頭からナメてかかって、うまくいけば政界復帰をとインタビューを受けることに…。このトークバトルは4500万人の国民を釘づけにし、テレビ史上最高の視聴者数を上げた番組でした。このインタビューの表と裏を描いたのはピーター・モーガンの戲曲で、2006年8月からロンドンのドンマー・ウエアハウスで上演されました。それをロン・ハワードが映画化したものです。「フロスト×ニクソン」は作品賞、主演男優賞、監督賞の各部門にノミネートされています。フロスト役はマイケル・シーン(「クィーン」のブレア首相役で注目されました)、ニクソン役はオスカーにノミネートされたフランク・ランジェラが演じ、ふたりともオリジナルの舞台で同じ役を演じました。ランジェラの目の演技にご注目であります。
 
ツタヤオンライン/賞レース予想大会”のリストを見て、多くの人がノミネートの映画を未見なのに、すごく“いい線”いっているのにビックリ。主演女優賞部門でケイト・ウィンスレットが健闘しているのってゴールデングローブ賞の影響でしょうが、果してW受賞はあるか、楽しみであります。
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プロフィール

おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。 テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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