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【注目】
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グラン・トリノ

2009-04-21
グラン・トリノ

 「グラン・トリノ」はハリウッドの伝統である“少年を大人の男が一人前の男にする話”であります。クリント・イーストウッドは、大作然とした映画でなく、それこそ“珠玉の名篇”と呼ぶような小振りの体裁に作りました。だから余計、そこにある“人間の心の変化”が胸にしみます。

ウォルト・コワルスキーは仕事をリタイアして、毎日、同じことを繰り返して生活している。妻は先立ち、月一回床屋に出掛けるのが外出である。彼の自慢は1972年製のフォード車“グラン・トリノ”で、今も新車同様に輝いている。ウォルトの住む町に彼の友人、知人は少なくなり、その替り、ラテン系、アフリカ系の移民たちが住みつくようになった。隣に住むようになったのは東南アジアからやって来たモン族の家族だった。そこの子供のタオという少年がモン族の不良グループにけしかけられ、自慢の車を盗もうとしてウォルトに見つかって失敗。これが切っ掛けで、このシャイな少年との交流が始まった。頑固な老人が少年に徐々に心を開いていく過程もイーストウッドの演技が美事なため納得いくし、少年が老人へ徐々に見せてくる信頼も初々しく描かれていく。民族の違いで生活様式がまったく異なり、初めはまったく馴めなかったものが、何時の間にか平気になっていく様がユーモアになっていたり、随所、随所で感動が湧いてきます。
イーストウッドの監督としての腕は“神の腕”といっていいでしょう。必見の一本です。
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プロフィール

おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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