おすぎのシネマ言いたい放題|映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このなかにある!


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「TSUTAYAが選んだ名作DVD 100」に寄せて

2009-07-06 written by おすぎ

 最初に映画を見てから61年もの歳月が流れました。世の中にテレビがなかった頃、アメージングパークもなく、勿論、パソコンも、インターネットもなかった頃、映画は娯楽の王様でした。ジョン・フォードの「駅馬車」「荒野の決闘」「我が谷は緑なりき」「怒りの葡萄」、ジャン・コクトーの「美女と野獣」、チャールズ・ヴィダーアンデルセン物語」、セシル・B・デミル十戒」、ウィリアム・ワイラーベン・ハー」など、何も調べずにも、目の前に繰り拡げられた名演が思い出されます。「風と共に去りぬ」は離島でひとり暮す時には、持っていってアトランタの駅前の広場に倒れている南軍の兵士の負傷兵や死体の中にどれくらい人形があるのか数えたいし、ヒッチコックの「」は何羽のカラスが電線に群がったのか調べてみたい、と思います。今みたいに映画を見て失敗したと思ったことは40年前には少なかったのです。
 情報が限られていて、見たいものは自分で調べて、どこの映画館でやっているかを知ったものでした。3番館という公開時から時間がたった映画を3本立てで見せる映画館があって、かつての名作をむさぼるように見ました。
  その都度、映画の楽しさを知ったものです。監督をきめ、その人のものを重点的に見る、ということで“映画のスタイル”というものがあるのを知りました。スターもファンになったら追いかけて、その魅力を堪能したものでした。テレビが生活に加わってきたら、映画はスクリーンのサイズを大きくし、それに合う映画を作り始めます。ミュージカルはほとんど70ミリで作るようになり、「ウエストサイド物語」はその白眉でした。そして歴史もの「偉大な生涯の物語」などはキリストの生涯をマックス・フォン・シドーで見せてくれました。
スター・ウォーズ」はVFXの進化を見せてくれ、「未知との遭遇」や「E.T.」はスピルバーグの腕の見せどころでした。日本映画も黒澤明監督はじめ、木下惠介小津安二郎溝口健二と巨匠が揃っていました。ところがテレビ局が映画を作るようになりました。ヒットドラマを演出したディレクターたちが映画の監督をするようになり。それが必ずしも悪いものだとは思いませんが、映画が軽くなった、というよりテレビドラマと同じような作りをしてしまう。映画ならではの“言語”が消滅していったというか、話す言葉を私が理解出来なくなりました。
 “イケメン”だとか“人気タレント”だとかを並べれば、客が入ってくる。一週間も10日も、その映画にたずさわった人間をテレビの番組でパブリシティのために登場させる、なんて手法を使って、批評するのを許さない方向に持っていく映画が増えてきた様に思えます。映画を見終えて、もう一度見たいと思う映画が、本当に少なくなってしまいました。それでも西川美和監督、橋口亮輔監督など良質の作品を作り出す人たちもおりますから、絶望とまではいきませんが…。TSUTAYAの“名作100選”を活用して、本当の映画の楽しさ、面白さを満喫して欲しいと思います。
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プロフィール

おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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