おすぎのシネマ言いたい放題|映画評論家おすぎが、公開映画を一刀両断!いま観るべき映画の答えは、このなかにある!


【注目】
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リミッツ・オブ・コントロール

2009-09-24

 「ブロークン・フラワーズ」から4年たって、久し振りのジム・ジャームッシュであります。「リミッツ・オブ・コントロール」は多分、好き嫌いがハッキリ分かれる作品ではないか、と思います。私はラストまで頭の中が?、?、?でしたが、とても“好きな映画”でした。

コードネーム“孤独な男”(イザック・ド・バンコレ)は「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ」というミッションを実行するためにスペインに降りたった。この“孤独な男”が次々にコードネームを持った人間に出会い、その都度、言葉を与えられ、例えば、どの人物も最初、彼に向って「スペイン語を話すか?」と聞きます。そのあと「すべては主観的なもの」とか「人生は無に等しい」などという言葉が、その人物から発せられ、それが次の展開に繋っていく。言葉だったり、車の荷台の後に大きく書かれたりする文字が、観る者の耳や目に入ってきますが、それは少しも具体的にはなっていきません。多少、イライラしてきますが、映像の美しさ(撮影はクリストファー・ドイル)と、列車の窓や車の窓から見える、移動する風景の変化によって、そのイラ立ちが消えていき、ノスタルジックな、そのくせ、つき離されるような、エトランゼな気持にさせられ、最後の最後まで見入ってしまいます。ストーリーは頭に入ってこなくても、なんとなく大好きになっている映画なのであります。
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「リミッツ・オブ・コントロール」劇場・作品情報
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プロフィール

おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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