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ずっとあなたを愛してる

2010-01-07
ずっとあなたを愛してる

 「イングリッシュ・ペイシェント」で圧倒的な演技を見せてくれたクリスティン・スコット・トーマスは、時々、スクリーンに顔を出しますが印象の薄い役ばかりでした。でも、今公開されている「ずっとあなたを愛してる」での彼女は、甦ったように素晴しい演技を見せてくれます。ジュリエットは息子殺しの罪で刑務所に15年間入っていて、出所してきます(この誰もいない空港の待ち合い室で煙草を吸っているクリスティンの表情のスサマジイこと…)。迎えに来たのは血は繋がってはいても疎遠だった妹のレア。彼女はナンシーの街の大学で講師をしていて、夫と義父、ベトナム人の養女と暮している。レアの周りにはジュリエットが出所してきたことは知らされていない。レアの夫は息子を殺した女が一緒に住むことに嫌悪感を持っている。そんな中でジュリエットの再生が始まる。映画の2/3は、ジュリエットは寡黙で通します。クリスティンは抑えた演技をつづけます。

しかし、ラスト30分あたりから、何故、息子を殺さなければならなかったのか、ということが暴かれていく瞬間から、激しい感情を前面に押し出してきます。それは美事な演技で、愛する者を手にかけてしまった母親の心境、そのことで生きることを終わらせてしまった人生、その姉を必死で抱き締める妹、もうスクリーンを見ることが出来ませんでした。涙で…。

ラストのクレジット・タイトルに流れる、バルバラの“いつ帰ってくるの”の主題歌でまたまた涙・涙でした。監督はフランスの小説家で、映画監督は初のフィリップ・クローデル 。妹のレアはエルザ・ジルベルスタインです。
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「ずっとあなたを愛してる」劇場・作品情報
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(c) 2008 UGC YM - UGC IMAGES - FRANCE 3 CINEMA - INTEGRAL FILM

プロフィール

おすぎ
1945年神奈川県生まれ。映画評論家。テレビ、ラジオ出演のほか新聞・雑誌の執筆、講演やイベントの企画制作など多岐にわたり活動している。

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