役所広司インタビュー

■役所さんと、三池崇史監督の初顔合わせ。最初に聞いたときは、びっくりしたし、正直、どうなるんだろう?と心配していたんです。


「いやいや、三池監督の映画に参加することを心から楽しみにしていたし、現場は期待以上でしたね。三池監督の何がすごいって、『画はつながってなくてもいい。気持ちがつながっていれば』と断言するところです」


■演じる俳優の側の気持ちがつながっていれば、カットとカットはつながるということですか。


「そう。『十三人の刺客』はロケの多い作品でしたから、日によっては天候が違ったりもする。『でも、気にするな』と。『気持ちがつながっていれば、それはつながるんだ』と」


■なるほど。それは役者として気合いが入りますね。


「だからでしょうね。キャストはもちろん、スタッフも含めて、現場が一丸になれるんですよ。その迫力は、しっかり映画に反映されていると思います」


■この映画は、侍の存在意義が揺らいでいる時代の物語。それだけに、侍の生と死、その朽ちぬ美学のようなものが太く強く伝わってきます。


「時代劇がこれだけ長く作られつづけているのは、つまりそういうことだと思うんです。時代は変わってしまったけれど、日本人はなんらかのかたちで、侍の血を継承しているし、だからこそ時代劇というものに惹かれるんじゃないでしょうか」


■役所さんは数多くの時代劇に出演されてきました。それは、まさしく、おっしゃる通り、侍の血の体現だと思います。一方で、役所さんのお芝居を拝見していて、いつも感じることがあります。うまくは言えないのですが、それは映画俳優としてのあるべき姿、言ってみれば「正しさ」のようなものです。もちろん役所さんは、舞台でも、TVでもご活躍されているわけですが、映画俳優として何かを継承している意識はありますか。


「正直なところ、何がいい芝居かはわからないんです。はたして、正しい芝居というものがあるのかどうか。わからないから続けている、というところはあるかもしれません。ナチュラルな表現はもちろん大切なことだけど、ただ自然な感じだけでは、何も伝わらないという気はします。しっかり、何かを伝える。その意志は持つようにはしています。それは『十三人の刺客』でも変わらない、確かなことでした」

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