「3D映画元年」といわれた2010年の公開作で、3Dブームの原点となった「アバター」(ジェームズ・キャメロン監督)をしのぐ革新的な映像が話題となった「トロン:レガシー」(ジョセフ・コジンスキー監督)の3Dブルーレイが6月3日(金)に発売される。CG(コンピューターグラフィックス)を駆使した最先端のバトルアクションと近未来的な音楽、82年の「トロン:オリジナル」から継承したストーリーなど見どころ満載の作品。最新の映像体験を自宅で堪能しよう。(毎日新聞デジタル MANTANWEB編集部)


近未来の仮想世界でバトルを繰り広げるこの作品の舞台は、闇(やみ)を基調にしたコンピューターシステム内だ。闇の中に浮かび上がるさまざまな光の表現を効果的に使い、さらに風や雨の演出で3Dでの立体感や未体験ゾーンでのバトルを臨場感たっぷりに描き出すことに成功した。とくに衣装は秀逸で気泡ゴムで作られたほとんど縫い目のないスーツにはさまざまなライトを仕込み、衣装が自ら発光するという近未来的なデザインでスタイリッシュな世界を演出しつつ、バトルは生身の肉体同士の対決を感じさせ、「見る」映画から「体感する」映画へと進化を遂げた。



1982年、ディズニーは当時注目されていたCGを本格的に取り入れたオリジナルの映画「トロン」を製作し、その後の映画界に大きな影響を与えた。オリジナルの主人公は「トロン」というビデオゲームを生みだし世界的にヒットさせた天才プログラマーのケヴィン・フリン。同僚の裏切りを知り、自身を電子回路内に送り込み、その中でサバイバルゲームを繰り広げた。2010年の「トロン:レガシー」ではその息子サムが主人公となる。
89年、巨大デジタル企業エンコム社のCEOである父ケヴィンはこつぜんと姿を消した……。20年後、サムの元に消息不明だった父から「ポケベル」を使って謎のメッセージが届く。手がかりを求めてゲームセンターの地下にある父の秘密のオフィスに足を踏み入れるサム。そこで奇妙な装置が突然作動し、サムは見知らぬ世界に放り出されてしまう。そこは、父が心血を注いで創造したコンピューターの中の“理想の世界”だった。その世界はクルーという独裁者が支配。サムは正体不明の敵に攻撃をうけ、命がけで逃亡する。この世界にいるはずの父を捜し、サムが行き着いた場所とは?
89年、巨大デジタル企業エンコム社のCEOである父ケヴィンはこつぜんと姿を消した……。20年後、サムの元に消息不明だった父から「ポケベル」を使って謎のメッセージが届く。手がかりを求めてゲームセンターの地下にある父の秘密のオフィスに足を踏み入れるサム。そこで奇妙な装置が突然作動し、サムは見知らぬ世界に放り出されてしまう。そこは、父が心血を注いで創造したコンピューターの中の“理想の世界”だった。その世界はクルーという独裁者が支配。サムは正体不明の敵に攻撃をうけ、命がけで逃亡する。この世界にいるはずの父を捜し、サムが行き着いた場所とは?


「オリジナル」と新作の共通点とは? 物語の舞台は同じ巨大企業エンコム社。また、サムの父親であるケヴィンとサムの親代わりでエンコム社の名誉チェアマンのアラン・ブラッドリーの役名やキャラクターはそのまま新作に受け継がれ、同じ俳優が演じている。ケヴィン役は「クレイジー・ハート」(09年)でアカデミー賞主演男優賞に輝いたジェフ・ブリッジス、アラン役は「夢を生きた男/ザ・べーブ」(91年)などで知られるブルース・ボックスレイトナーだ。また、コンピューターの世界に登場する巨大飛行マシン「レコグナイザー」、二輪の「ライト・サイクル」などもオリジナルに基づいてデザインされ、その世界観を引き継いでいる。




スタンフォード大工学部機械工学デザイン科を卒業後、コロンビア大建築大学院修士課程を修了、その後、映像クリエイターとしてアディダスやナイキやアップルなどのCMを手がけるという映画監督としては異色の経歴を持つコジンスキー監督。コロンビア大で3Dグラフィックなどの研究を進める監督は、造形美にとことんこだわった。
今作の視覚効果には2年を費やした。とくにブリッジスは、20年前のままのケヴィンと同じ顔をした悪役のクルーと現在のケヴィンの二役を演じたため、顔に小型カメラ2台とマーカーを無数に付けて、セットも衣装もないスタジオで表情を先に撮影し、セット上で演技した他の役者の映像と合成するという最新技術を使った。2人が対決するシーンに違和感がないのも納得できる。
ただ、撮影技術が最先端なだけではない。斬新なデザイン、独特のダイナミックな世界観、父と子のきずなを描くなどの人間ドラマの部分が相まって、映像美だけでないエンターテインメント作品に仕上がっている。その世界観を盛り上げるのはエレクトロニックミュージック界の頂点に存在するユニット「ダフト・パンク」の近未来的な音楽だ。
今作の視覚効果には2年を費やした。とくにブリッジスは、20年前のままのケヴィンと同じ顔をした悪役のクルーと現在のケヴィンの二役を演じたため、顔に小型カメラ2台とマーカーを無数に付けて、セットも衣装もないスタジオで表情を先に撮影し、セット上で演技した他の役者の映像と合成するという最新技術を使った。2人が対決するシーンに違和感がないのも納得できる。
ただ、撮影技術が最先端なだけではない。斬新なデザイン、独特のダイナミックな世界観、父と子のきずなを描くなどの人間ドラマの部分が相まって、映像美だけでないエンターテインメント作品に仕上がっている。その世界観を盛り上げるのはエレクトロニックミュージック界の頂点に存在するユニット「ダフト・パンク」の近未来的な音楽だ。


圧巻のバトルシーンを彩る武器たちも独特の世界観を持っている。コンピューター内で人間の形をした「プログラム」の背中に装着されている「ディスク」。これには持ち主の全行動が記録され、IDとしての機能もある。戦闘時にはフリスビーのように相手を目がけて投げて攻撃する。このほかにも利用したい武器を生成することができる携帯型プログラム「バトン」は、日本刀のように切り裂く「ソード」にも二輪の「ライト・サイクル」にも即座に変身する。

BDには「トロン」の世界をさらに深めることができる映像特典が収録されている。「空白の20年間:フリンは生きている」はケヴィンの失踪をドキュメンタリーふうにまとめた。また、撮影の舞台裏を収録した「『トロン:レガシー』の世界観」、キャストやプロデューサー、監督へのインタビューなど、魅力的なコンテンツが収められている。
「歓声収録@コミックコンベンション」では、10年7月に米サンディエゴで開催されたポップカルチャー・イベント「コミック・コンベンション(コミコン)」のメーン会場となる6500人収容の大ホールで、主人公のサムがトロンの世界に入り込んだ5分間のシーンを特別上映したときの観客の歓声や3D映像に興奮した様子などを収めている。会場にはコシンスキー監督やブリッジスらキャストも登場し、前作に引き続き出演しているブリッジスは「27年たって、また新たにこの役を演じるのはとてもエキサイティングだったよ」と興奮気味に語った。

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