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著名人コラム 贅沢な時間を応援!様々な分野で活躍する4人の、それぞれの「贅沢な時間」とは・・・?

部屋で過ごす自分スタイル

10/13(月)up!

20代の頃から海外へ旅をする機会が多くなった。
家族や友人と一緒の旅行は、あまり経験がなく殆どが一人旅だ。
東南アジアの旅行が圧倒的に多く、インドネシア・中国・シンガポール・フィリピンなど多くの国に行った。
中でもタイは年に2,3回旅をする事がある。
 
旅は、それぞれの国にそれぞれのドラマがあり、新しい出会いや発見、そして色んな経験をする事で、一回り自分が大きくなれた気になるから不思議だ。

そんな僕の旅プランは…というと、いつも未定。
最低限の宿泊先だけを確保して、あとは現地に乗り込んでから、その日の気分で決める。

天気が良ければ海や草原で、寝転がってのんびり過ごす。
夜になれば素敵なバーやレストランだって一人で行ったりもする。
時には、現地人しか行かないようなローカルな食堂や市場などで格安の買い物をし、旅費を節約するようなバックパーカー的発想で一人旅をする事も僕にとっては魅力的なプランなのだ。

そんな旅の中でも、一番印象に残る旅と言えば、やはり「タイ・バンコク」。
8年前に行ったバンコクで思いがけない出会いをした事があった。
僕はノープランな旅の真最中。
バンコクの中心地から少し離れた閑静な住宅街にヒッソリとあるヴィラに泊まった時の事。
部屋の大きな窓からは南国らしい見た事もない樹木が覆い茂げり、夕日が綺麗に染まる頃、ベランダから見える小さな家の庭で、何やら体操をしている夫婦を見つけた。
ゆっくりと体を動かし柔軟体操のような動きだ。なんだろ?
見た事もない、その動きが妙に気になり、僕は部屋を出て、その夫婦を近くで観察することにした。
しばらく見ていたが、やはり奇妙な動きだ。 ヨガのようだけどチョッと違う。
そんな不思議そうな顔で見つめる僕に気付いた夫婦は、優しい笑顔で話しかけて来たのだ。
40か50代であろう夫婦は、簡単な英語でゆっくり丁重に話しかけてきた。
その奇妙な動きを尋ねると、タイに伝わるオリジナル健康法でルーシーダットン(Rusie Dutton)と言うらしい。

※まず、ルーシーダットンとは何ぞや?…という方に簡単にレクチャーを。
ルーシーダットンは、タイ語で「仙人体操」と呼ばれ、タイに古くから伝わる健康法のこと。
仙人が山奥で自分の身体を解すために生まれた健康法なんだそう。
一つ一つのポーズに仙人の名前や、ユニークなエピソードがついていてインドのヨガとは異なる呼吸法が特徴だ。
最近は、ようやく日本でも「タイ式ヨガ」などと呼ばれて注目されているけど、この時はまだ日本でルーシーダットンを知る機会は殆ど無く、 初めて聞く名前に困惑したことを覚えている。

一気にその仙人体操に興味が出た僕は、一緒にやらさせてもらう事になったのだ。
丁寧に教えてくれる夫婦と僕は、ゆっくり流れる時間に身を任せながら静かに呼吸法を続ける。
約1時間のルーシーダットン。
インドヨガのように心身のリラックス効果なども期待されるので終わった後の気分は爽やかな最高の気分だった。
すっかり虜になったルーシーダットン。
その日から、僕は約10日間、毎日同じ時間に、その庭へ行き夫婦と一緒にルーシーダットンを教える事となった。 

素敵な夫婦とルーシーダットンとの出会い。

そんな貴重な体験や経験が出来るのも、一人旅ならではの醍醐味だ。

きっと僕はこれからもノープランの旅を続けていくだろう。さぁ、次はどこへ行こう…。

岩田博文

岩田博文

プロフィール

インテリアコーディネーター/MONDE代表
1974年生まれ 高い目利きのセンスが高く評価され若くして有名家具メーカーのマーチャンダイザーとなる。その後2003年に独立し東京・目黒にオリエンタルショップ「MONDE(モンド)」を出店。現在は活動の幅を広げインテリアコーディネートのみならず服のデザインや雑貨の商品開発にも数多く参加している。