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INTERVIEW - 安室奈美恵

TEXT:KANAKO HAYAKAWA

安室奈美恵、初のバラードベストアルバム『Ballada』が完成
勇気と優しさをくれる安室奈美恵のキャリア初バラードベストアルバム

安室奈美恵がキャリア初のバラードベストアルバム『Ballada』をリリースする。国内外の気鋭クリエイターたちとタッグを組みながら、R&Bやヒップホップ、レゲエやグライム、ハウス、EDMといった時代のダンスミュージックを積極的に取り入れた音楽を、“歌って踊る”という方法で表現し続けてきた彼女。中世の時代の南仏・プロバンスでは、舞踏歌や踊るための歌、いわゆるダンスミュージックのことをバラーダと呼び、それがバラードの語源になっているという逸話から名付けられた『Ballada』というアルバムタイトルも含め、これはかなり意味深な一枚と捉えてもいいのかもしれない。

周知のとおり、安室奈美恵の真髄はライヴパフォーマンスにあるが、彼女はいつも約2時間のライヴ中、バラードは1〜2曲しか披露していない。もちろんアルバムにはいつもバラード曲は1〜2曲必ず収録されており、すでにバラードのアーカイブは十分にある。けれど、ライヴではバラードをしっとり披露するよりも、ビートの利いたアッパーな楽曲を自身のダンスとともに披露するのが彼女のスタイルだ。ゆえに、大ヒット曲「SWEET 19 BLUES」や「CAN YOU CELEBRATE?」以降は、どちらかといえばバラードを歌うイメージはあまりないかもしれない。そんな彼女が今回、バラードベストアルバム『Ballada』をリリースするのを決めたきっかけ。それは、自身のオフィシャルサイトで実施されたファンの楽曲投票でも見事1位に輝いた「Love Story」だった。

「『Love Story』にたくさんの方が共感してくださった時に、実は私は今までたくさん素敵なバラードを歌ってきていて、もしかしたらそのなかに、もっと好きになってもらえるバラードがあるんじゃないかと思ったんです」

その「Love Story」を含む、安室奈美恵自身がセレクトした全38曲のバラードアーカイブのなかから、リスナーの投票で選ばれた上位15曲を収録したものが『Ballada』なのだが、実は先述の「Love Story」の作曲陣には、世界のダンスシーンの先端を行くオーストラリア出身の売れっ子クリエイター、NERVO(ナーヴォ)の2人も名を連ねている。NERVOといえば、あのデヴィッド・ゲッタのグラミー受賞曲「ラヴ・テイクス・オーバー(feat.ケリー・ローランド)」を手掛けたことで世界中の注目を集め、KE$HAやカイリー・ミノーグといった超大物らに作品を提供しているダンスミュージック界の才色兼備。「Love Story」はその彼女たちが初めて手掛けたバラードなのである。

実際、「Love Story」は一見、ピアノとストリングスを主役にしつつも、ギターやフィンガースナップの音が効果的にフィーチャーされ、そこにバンドサウンドがさりげなくレイヤードされていくという壮大で美しい王道のバラードだ。が、サビに向かってゆっくりとドラマティックに熱をおび、大サビで大輪の花を咲かせる珠玉のメロディは、まさにハウスミュージックの高揚感を知りつくしたクリエイターだからこそ作り得たもの。この曲に4つ打ちのビートを加え、さらにBPMを上げれば、恐らくすぐにでも最高にドラマティックなハウスチューンになることだろう。そんなダンスミュージックコンシャスな楽曲を、総ダウンロード数350万以上もの大ヒット曲にしてしまえるアーティストパワーも含め、「Love Story」はまさに、ダンスミュージックを体現し続けてきた安室奈美恵らしい名バラードだと断言してもいい。

他にも『Ballada』には、1996年リリースの「SWEET 19 BLUES」から2014年1月発売の最新シングル「TSUKI」までの、リスナーの投票で選ばれた上位15曲の安室奈美恵らしいバラード曲が年代順にずらりと居並ぶ。改めてその15曲を聴くと、安室奈美恵のバラードナンバーに共通するある特徴に気づく。それは、彼女の歌うバラードはジャズのそれのようにただ恋に酔いしれたり、それを失う悲しみや人生の切なさを憂いたり嘆いたりするだけのものではない、ということ。愛される喜びを知ったなら、それにふさわしい自分であろうと心に誓う。何かを失った時は、もう一度前を向こうと立ち上がる。リリックだけでなく、サウンド面においてもそれは同様だ。ここに居並ぶ15曲もスロウよりもミディアム寄りのナンバーが圧倒的に多く、しかもバラードといえど、ビートがはっきり強く鳴っているものがほとんど。もちろん歌声も、アッパーな楽曲の時以上に強く張ったソウルフルなのが印象的。例えば、90年代のUKクラブジャズやソウルからの影響を色濃く感じる「Dreaming I was dreaming」や、第2期安室サウンドを築いたNao'ymtプロデュースの2005年発売のスウィートなクリスマスソング「White Light」も、いわゆるバラードというよりも、ミディアムスロウなR&Bチューンと呼ぶ方がふさわしい。バラードとはいっても、決して保守的で無難なものじゃないのが安室奈美恵のバラード、なのだ。

アッパーチューンであろうとバラードであろうと、キャッチーなメロディと鮮烈に響くビートを軸に、安室奈美恵は今を生きる女性の強さとその向こうに隠された脆く切ない部分を、力強くリアルに歌い描き続けてきた。それこそが、彼女が時代と年代を超えて多くの女性(もちろん男性も)の共感を得続けてきている所以だが、ディズニーアニメ『アナと雪の女王』のダーク・ヒロイン、エルサが歌うポップバラード「Let It Go」が今、巷で爆発的な人気を博しているのも、これと同じ理由ではないかという気がする。単なるロマンスや癒しのバラードではなく、生きる勇気や立ち上がる力をくれるバラードこそが求められているのだ。安室奈美恵が発信するバラードが時代や年代を超えて多くの人を魅了し続けているのは、間違いなくそこなのだと思う。

そんな『Ballada』には、今回新たに歌い直しされたニューヴォーカルVer.による「SWEET 19 BLUES」と「CAN YOU CELEBRATE?」が収録されている。「SWEET 19 BLUES」はオリジナルのままのトラックをもとに歌い直しているのだが、19才当時の焦燥感や気だるささえ包み込むような優しさにあふれた歌声が染みる1曲に仕上がっている。一方の「CAN YOU CELEBRATE?」は、オーケストラをトラックごとリメイク。新たな輝きを放つ結婚式の定番アンセムとして、この先も長く愛される1曲となることだろう。さらにボーナストラックとして、TBS系日曜劇場『空飛ぶ広報室』主題歌にもなった、Nao'ymtらが制作陣に名を連ねるポップで爽快なハウスチューンをバラードに仕上げた「Contrail Ballada Ver.」を収録。スケール感あるこのソウルフルなピアノバラードバージョンはドラマ内でも一度だけ流されたことがあるそうだが、ほぼピアノだけで歌い上げられるにも関わらず、アッパーな原曲の突き抜けるような高揚感がむしろ直球で心を射抜く感動的な1曲になっている。

また、CD+DVD盤とCD+Blu-ray盤には、「SWEET 19 BLUES」と「CAN YOU CELEBRATE?」のオリジナル映像に加え、新たに撮りおろしたミュージックビデオも収録。もともとミュージックビデオが存在しなかった「HimAWArI」と「Four Seasons」のミュージックビデオも新たに撮りおろされるなど、なんと全17曲分のミュージックビデオが収録されている。映像を通して楽しむ『Ballada』もまた一興だ。

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