エンタメコラム

バックナンバー

第31号

andropがオーディエンスと体現した光
「one-man live tour “relight”」最終日の模様をレポート

光と闇、生と死、喪失と再生―常に表裏一体の概念をつぶさに見つめながら描く歌と、ロックとダンス・ミュージックとポップスのミッシングリンクとなるサウンドの有機的な融合。それが、andropというロック・バンドの核心であり、音楽的アイデンティティである。昨年9月にリリースした1stフル・アルバム『relight』では、レコーディング中に発生した震災を経て、バンドの本質的なテーマがあらためて強く浮かび上がり、最終的に揺るぎない希望を導き出した。

 

3月31日、ZeppTokyo。『relight』のレコ発ツアー「one-man live tour “relight”」のファイナルが行われた。開演を知らせる場内の暗転とともにステージの紗幕に内澤のシルエットが現れる。内澤のシルエットが人差し指で幕に触れると、柔らかな炎が灯る。やがて水滴が波紋し、そこに光が生まれ、破裂し、星が瞬く宇宙を思わせる空間となり、ツアー・タイトルが映し出される。間もなくして今度はメンバー全員のシルエットが登場し、1曲目の「Strobo」へ。内澤の穏やかな声色による唄い出しを経て、バンド・サウンドが加わると同時に紗幕が降り、会場のムードが一気に躍動し、ライヴが駆け抜けていく。

 

ハイライトは、11曲目「Bright Siren」から「Q.E.D.」、今年2月にリリースした初のシングル「World.Words.Lights.」と「You」への展開。250台ものカメラのストロボを駆使したミュージック・ビデオの世界観を再現した「Bright Siren」、シンセとシーケンサーを全面にフィーチャーし濃密なダンス・グルーヴを表出させた「Q.E.D.」、そしてヘヴィーなダンス・ビートが鳴り響くなかグリーンのレーザー光線が飛び交った「World.Words.Lights.」でオーディエンスの昂揚と歓喜は沸点に達し、「You」のエモーショナルなバンド・サウンドでさらにその熱量を高めていった。人と人が音楽を通してプリミティヴな喜びを覚えながら共鳴する。それはまさにandropがオーディエンスとともに体現した音楽の光だった。

 

そして、本編ラストの「Relight」は、どこまでもシンプルに、優しく、人肌のあたたかさで会場を包み込んだ。そのぬくもりは、andropが創造する音楽の核心に宿る体温なのだと思う。

写真

【ライター紹介】
三宅 正一~取材にライブに子育てに。音楽を中心にせわしない日々を送るフリーライター~
1978年生まれ、東京都出身。雑誌「SWITCH」、「EYESCREAM」の編集を経て、2005年にフリーライターとしての活動を開始。音楽を中心に、カルチャー全般の執筆を手がけている。