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第39号

Twitter騒動とニュー・シングル「OH YEAH」
今こそ、KREVAの生き様に注目せよ!

KREVAの2012年第1弾シングル「OH YEAH」。この曲が初披露されたのは、4月11、12日に東京国際フォーラムで行われた「KREVA CONCERT TOUR 2011-2012『GO』」の最終公演だった。
事実上のツアー初日でもあった昨年10月の日本武道館2DAYSを経て、年明けから全国を廻ったこのツアーは、KREVAにとって内容的にも、状況的にも、非常にタフなものであった。
KREVAがストイックなまでに徹底したのは、楽曲そのものが持っているメッセージ性を通して、オーディエンスに語り続けることだった。本編のMCらしいMCは、一切なし。水分を取ることさえも極力抑え、MPCの熊井吾郎と絶妙なタイミングで曲と曲をつなげながらライヴのセクションを移行し、オーディエンスを満たしていく。ラップのダイナミズムを全面に押し出し、必然的にKREVAのパーソナリティが迫真的に浮き彫りにもなった『GO』の収録曲を、馴染み深い代表曲とエモーショナルに共鳴させることで、ライヴ全体のカタルシスを格別なものにする。


ツアー『GO』は、シンプルかつ立体的にKREVAというアーティストの凄みを体感できるからこそ、何度観てもその度にフレッシュな驚きと発見があった。それは、KREVAのライヴ史上最高に感動的な“生き様エンターテイメント”と呼ぶべきものだった。
しかし、ツアー最終公演の前売り券が思うように伸びないというシリアスな状況にも直面した。4月1日から、自身の誕生日の6月18日まで、期間限定でツイッターアカウントを公開しているKREVAは、その現状を赤裸裸に告白。
自ら集客を呼びかけ、これが大きなバズを生んだ。KREVAがこれまで築き上げてきたアーティスト・イメージを考えれば、それはリスキーな行動ではあった。
しかし、ライヴのクオリティに絶対的な自信を持っているからこそKREVAは直接的に動いたし、その行動力に支持を表明する仲間のアーティトやファン、あるいはこれまでKREVAとまったく接点を持っていなかった人たちをも巻き込み、メッセージは確実に伝播していった。結果的に当日券も予想以上に出たという。

 

そして、迎えた国際フォーラム2DAYSの最終公演。オープニングVTRでツイッターから端を発した一連の出来事を振り返り、ひとつの物語として昇華しながら、KREVAは文句なしにすばらしいパフォーマンスを見せた。現在進行形で磨き上げるスキルと揺るぎないプロフェッショナリズムを糧に、全身全霊で音楽を体現する。
そうすることで、KREVAはいつだってネガをポジに反転してみせる。アンコールのオーラスで披露した、ラガマフィン調のトラックとフロウが印象的な新曲「OH YEAH」は、そんなKREVAの真髄を陽性のムードで浮き彫りにしながら、オーディエンスの熱気と力強く呼応するパーティー・チューンだった。夏のイベントをはじめ今後のライヴで即戦力として活躍するのは、間違いない。
SONOMIを迎えたM2「NO NO NO」は、タイトル的には「OH YEAH」と対を成しているが、“真新しい世界”を導くメッセージの根源に強いシンクロニシティを感じさせる。軽快なギター・リフとベース・ライン、バウンシーなビートを軸に構築されたトラックは、KREVAの新しいポップネスが押し出されている。終盤のブリッジ部分にあたるバースで繰り出される、「基準」より速い(!)高速ラップにも注目してほしい。


M3「Have a nice day!-2012 Re-Mix-」は、2006年8月のシングル・リリース以降、どのライヴでもオーディエンスの多幸感を引き上げる要となっている「Have a nice day!」を、最新のモードで“リミックス”ではなく“リ・ミックス”している。SEを足し引きしているほかに、音色のバランスに細やかな手を加えることで、サウンドをよりダイナミックかつソフィスティケイトされたものにしている。
また、「OH YEAH」の予約購入先着特典として、新曲「PROPS」がプレゼントされることもKREVAのツイッターアカウントで発表された。これは、KREVAが4月26日19時25分に「さて、どうにもラップするしか無いトラックができた。いけてるラッパーに、いっぱい参加してもらおうかなぁ。BPM98」とツイートし、即座に反応したラッパーのなかから選ばれた6人―サイプレス上野、HI-SO、KEN THE 390、KLOOZ、LB(LBとOTOWA)、SKY-HI a.k.a.日高光啓(AAA)―が客演するというもの。一体どんなマイク・リレーが繰り広げられるのか。楽しみでならない。

KREVAは、自分と音楽を更新し続ける。今よりも、もっともっと大きなステージを見ているから。先の東京国際フォーラムでは、ステージを去る前に「国民的ラップスターになるために、本気で紅白歌合戦の出場を狙っていきたいと思います」とも言い切った。KREVAなら、やれるはずだ。いや、絶対にやれる。

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【ライター紹介】
三宅 正一~取材にライブに子育てに。音楽を中心にせわしない日々を送るフリーライター~
1978年生まれ、東京都出身。雑誌「SWITCH」、「EYESCREAM」の編集を経て、2005年にフリーライターとしての活動を開始。音楽を中心に、カルチャー全般の執筆を手がけている。